
「地域福祉」と聞くと、ボランティアや福祉施設、シニア向けの取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも実は、福祉はすべての世代に関わるテーマ。とりわけ、今注目されているのが“若者”の地域福祉への参加です。
高齢化が進み、地域の支え合いがますます求められる中、若者たちが持つエネルギーと柔軟な発想は、地域福祉の可能性を大きく広げています。
- 若者の参加が地域を変える
- 福祉は一方通行じゃない。若者も“得る”ことがある
- 活躍の場は、地域にたくさんある!
- 若者が参加しやすい福祉のかたちへ
- 地域福祉は“世代をつなぐ架け橋”
- 【次回予告】
若者の参加が地域を変える
宇都宮市が実施した調査では、高校生や大学生が地域の福祉活動に参加することで、地域住民とのつながりが生まれ、若者自身も「自分が社会の一員である」という意識を持つようになることが明らかになりました(宇都宮市, 2017)。
例えば、高齢者施設での交流や、清掃活動への参加といった日常的な関わりでも、「ありがとう」の一言が若者の自己肯定感を育み、また住民の安心感にもつながります。
福祉は一方通行じゃない。若者も“得る”ことがある
地域福祉への参加は、若者にとっても成長の機会になります。
看護学生と地域高齢者との交流をテーマにした研究では、学生が「福祉」という言葉の意味を現場で実感し、福祉に対する関心が高まると同時に、高齢者側も「自分にもまだできることがある」と生きがいを見出すようになったと報告されています(千葉看護学会誌, 2011)。
このように、若者と地域住民の間には“与える・与えられる”という関係ではなく、双方向の学びと喜びがあるのです。
活躍の場は、地域にたくさんある!
全国各地で、若者を巻き込んだ地域福祉の事例が増えています。
たとえば、金沢市では「学生のまち金沢」プロジェクトとして、学生が地域の清掃活動、子ども食堂の運営、認知症サポーターの養成など、多岐にわたる取り組みに関わっています。こうした活動は単なる「手伝い」にとどまらず、若者が企画や運営にも参加することで、地域に主体性と創造性をもたらしています。
また、愛知県で行われた研究会では、若者の視点を取り入れることで、今までにない地域福祉の形が提案される可能性があると報告されています(日本地域福祉学会, 2023)。
若者が参加しやすい福祉のかたちへ
一方で、課題もあります。若者にとって「福祉」は少し身近ではない印象があり、「何から始めたらいいかわからない」という声も多くあります。
だからこそ、地域側の「迎え入れる姿勢」が重要です。情報を届ける、活動の内容を明確にする、若者の意見を取り入れる…。そんな工夫が、若者の一歩を後押しします。
SNSや学校・大学との連携も効果的です。「ちょっと手伝ってみたら、意外と楽しかった」「地域の人と話せて、元気をもらった」そんな小さな成功体験が、次の活動へとつながっていきます。
地域福祉は“世代をつなぐ架け橋”
若者は、未来の担い手であると同時に、いまの地域を支える一員でもあります。年齢に関係なく、誰もが地域の一部として関わることができる。それが「地域福祉」の魅力です。
あなたの街でも、きっと若者の力を必要としている場所があります。
まずは、知ることから。そして一歩、踏み出してみませんか?
【次回予告】
地域を動かすのは、若者の力かもしれない。
次回は「若者×まちづくり」をテーマに、地域活性化や地方創生の現場で若者が果たす役割、実際のプロジェクト事例などをご紹介します。
地域を変えたい、関わりたいと思っているあなたに届けたい内容です!
📚 参考リンク・文献
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