目次
一次・二次・三次予防とは何か
「予防医学」とは、病気を未然に防ぎ、健康を維持・促進するための学問と実践のことです。これは単なる健康管理にとどまらず、社会全体の医療費抑制や健康格差の縮小にも貢献します。一次予防では、生活習慣の改善などにより疾病そのものを防ぎます。二次予防は早期発見・早期治療、三次予防は再発防止や社会復帰支援を目的としています。
生活習慣病と予防の必要性
糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、日本における主要な死亡・重症化原因のひとつです。これらは多くが予防可能であり、厚生労働省の「健康日本21」では、食事・運動・禁煙といった生活習慣の改善が強調されています。健康的な行動を社会全体で支援する仕組みづくりが重要です。
ワクチンの意義と社会的影響
ワクチンは個人の健康を守るだけでなく、集団免疫を通じて社会全体を感染症から守る役割を担います。特に、高齢者や障害者などの要配慮者にとっては、他者の予防接種による間接的な保護が命を守る鍵になることも。新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちにとって、その意義はより明確になりました。
社会福祉と予防医学の連携
医療と福祉は車の両輪。たとえば、地域包括支援センターでは、健康チェックや健康教育を通じて、高齢者のフレイル（虚弱）予防に取り組んでいます。また、生活困窮者を支援する福祉現場でも、定期的な健康相談を通じて疾病の早期発見と予防が行われています。こうした予防医学と福祉の融合が、真に持続可能な社会をつくる鍵となります。
まとめ
予防医学は未来の健康を守るための科学的な道しるべです。個人の行動変容だけでなく、政策や社会的支援といった広い視野でのアプローチが必要です。福祉の視点を加えることで、すべての人が健康を享受できる社会に一歩近づくことができます。
次回予告
次回は「医療AIとテクノロジー ― 未来の医療はどう変わる？」をテーマに、診断支援AI、遠隔診療、医療ロボットなど最新の医療テクノロジーがもたらす変化と課題について解説します。どうぞお楽しみに！
参考文献・資料
- 厚生労働省「健康日本21」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html - 日本公衆衛生協会『公衆衛生学テキスト 第2版』
- 厚生労働省「予防接種に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html - 『地域共生社会と予防医療』（2022年、日本医療社会福祉学会論文）
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