🏠 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
誰もが尊厳を持って生きられる社会を目指して
📋 目次
- 1. 法律の概要と制定背景
- 2. ホームレス問題の現状
- 3. 具体的な支援施策
- 4. 支援の成果と実例
- 5. 今後の課題と展望
1. 法律の概要と制定背景
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法は、2002年8月7日に施行された画期的な法律です。バブル経済崩壊後の深刻な景気低迷により、1990年代後半から大都市を中心にホームレスが急増し、重大な社会問題となったことが背景にあります。
この法律は、自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた方々が、健康で文化的な生活を送れるよう支援することを目指しています。さらに、ホームレスとなることを未然に防ぐための予防的支援も重要な柱となっています。
📖 ホームレスの定義
本法では、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を起居の場所とし、日常生活を営んでいる者をホームレスと定義しています。この明確な定義により、支援対象が具体化され、効果的な施策展開が可能になりました。
⏰ 時限立法の特徴
本法は施行後25年で効力を失う限時法として制定されました。2002年の施行以来、2012年に5年間、2017年に10年間と延長が重ねられ、現在も効力を持ち続けています。この時限性により、定期的な見直しと改善が促進されています。
2. ホームレス問題の現状
2025年1月時点の全国のホームレス数
2003年から約23年間での減少
ホームレスが確認された自治体数
本法に基づく継続的な全国調査の結果、2025年1月時点で全国のホームレス数は2,591人となり、2021年の3,824人から4年間で3割以上減少しています。2003年の初回調査では25,296人でしたから、約20年間で劇的な改善が見られます。
📊 地域別の状況
都道府県別ホームレス数(上位5位)
大阪府が最多の763人で、次いで東京都565人、神奈川県366人となっています。一方、青森県や新潟県、長崎県など9県ではホームレスが確認されていません。
🏘️ 起居場所の内訳
都市公園が25.5%、道路が24.1%、河川が21.6%、駅舎が5.8%という分布になっています。近年は河川敷に住む方の割合が減少傾向にあります。
3. 具体的な支援施策
本法に基づく支援は、①自立の意思があるホームレスへの積極的支援、②ホームレスになる恐れのある方への予防的支援、③ホームレスの人権擁護と地域社会との調和、という3つの目標を掲げています。
💼 就労支援の充実
調査、計画、事業実施、効果検証というサイクルで全国的に推進されており、安定した雇用機会の確保や職業訓練の提供が行われています。自立支援センターでは、原則3ヶ月間(最大6ヶ月まで延長可能)の入所期間中に、無料で衣食住を提供しながら集中的な就労支援を実施しています。
🏥 健康管理と医療支援
健康診断や医療の提供を通じて、路上生活で損なわれた健康の回復を支援します。巡回医師による健康相談など、アウトリーチ型の支援も展開されています。
🏡 住宅確保の支援
安定した居住場所の確保は自立への重要なステップです。民間賃貸住宅の活用や、一時的な宿泊場所の提供を通じて、路上生活からの脱却を支援しています。
🤝 官民協働のネットワーク
全国で官民協働のホームレス支援が推進され、着実に効果を上げてきました。行政機関だけでなく、NPO法人や民間支援団体との連携により、きめ細かな支援が実現しています。
4. 支援の成果と実例
✨ 大阪市の成功事例
大阪市では1998年に8,660人いたホームレスが、2025年1月には726人まで減少しました。これは91%以上の減少率であり、官民協働の取り組みの成果を示しています。行政、民間団体、地域住民が連携して自立支援施策に取り組んできた結果です。
🌟 自立支援センターの実績
全国の自立支援センターでは、入所者に対して毎日の規則正しい生活リズムの中で、就職活動のサポート、生活相談、職業訓練などを提供しています。多くの利用者が就職を果たし、アパートを借りて安定した生活を始めています。
🎓 京都市の段階的アプローチ
京都市では、第1期から第3期まで計画を策定し、ホームレスの状況変化に応じた柔軟な支援を展開してきました。初期は比較的若く就労意欲の高い方が多かったため就労支援を中心に、その後は高齢化や路上生活期間の長期化に対応した多様な支援メニューを用意しています。
5. 今後の課題と展望
⚠️ 残された課題
ホームレス数は大幅に減少しましたが、高齢化の進行や路上生活期間の長期化といった新たな課題が浮上しています。また、いわゆる「ネットカフェ難民」など、路上生活はしていないものの定住する住居がない方々の実態は、現在の調査では把握されていません。
2015年度より、具体的なホームレス対策事業は生活困窮者自立支援法に基づき実施されています。本法が定める調査、計画、事業実施、効果検証のサイクルを継続することで、これまでの政策効果を持続させることが重要です。
🌈 目指すべき未来
本法の究極の目標は、誰一人として路上生活を余儀なくされることのない社会の実現です。予防的支援の充実、民間団体との連携強化、地域社会の理解促進など、多角的なアプローチにより、すべての人が尊厳を持って生きられる社会を目指し続けることが求められています。
ホームレスの自立支援は単なる福祉施策ではなく、社会全体の包摂性を高める取り組みです。本法が掲げる理念を継承し、さらなる発展を遂げることで、誰もが希望を持って生きられる社会の実現に近づくことができるでしょう。
📚 参考文献・資料
- 厚生労働省「ホームレス自立支援施策」公式サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/homeless/ - 厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について」(令和7年5月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39817.html - ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC1000000105 - 大阪市「ホームレス自立支援施策について」
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000008085.html - 全国ホームレス支援ネットワーク「ホームレス自立支援法のこれまでとこれから」リーフレット(2017年3月)
http://www.homeless-net.org/docs/2017-03_leaflet_web.pdf - nippon.com「ホームレス調査:2025年1月時点で全国2591人」(2025年5月20日)
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02407/ - 京都市「ホームレス自立支援等実施計画」
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000100026.html


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