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母子及び父子並びに寡婦福祉法〜ひとり親家庭を支える希望の光〜

福祉に関する法律
母子及び父子並びに寡婦福祉法 – ひとり親家庭を支える希望の光

母子及び父子並びに寡婦福祉法

〜ひとり親家庭を支える希望の光〜

1. 法律の概要と歴史的背景

母子及び父子並びに寡婦福祉法は、ひとり親家庭と寡婦の生活安定と向上を図るために制定された社会福祉六法の一つです。昭和39年(1964年)7月1日に公布されたこの法律は、当初「母子及び寡婦福祉法」という名称でしたが、平成26年(2014年)の重要な法改正により、父子家庭も支援対象に加えられ、現在の名称に変更されました。

法律の目的(第1条)
母子家庭等及び寡婦の福祉に関する原理を明らかにするとともに、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じることで、母子家庭等及び寡婦の福祉を図ることを目的としています。

この法律は、福祉資金の貸付、就業支援事業の実施、自立支援給付金の給付など、多角的な支援措置を規定しています。厚生労働大臣が基本方針を定め、都道府県等が自立促進計画を策定することで、地域に根ざした支援体制を構築しています。

2. ひとり親家庭の現状

141.9万
ひとり親家庭数
123.2万
母子世帯数
18.7万
父子世帯数
86.8%
母子世帯の割合

令和3年度の全国ひとり親世帯等調査によると、日本のひとり親家庭数は約141.9万世帯に達しています。平成5年(1993年)から平成15年(2003年)までの10年間で約5割増加し、その後ほぼ同水準で推移しています。現代社会において、ひとり親家庭は決して特殊なケースではなく、多様な家族形態の一つとして認識されるべき存在です。

ひとり親になった理由の内訳

離婚
79.5%
未婚・非婚
10.8%
死別
5.3%

特に注目すべきは経済状況です。母子世帯のうち37.6%が年間所得200万円未満という厳しい状況にあり、45.1%が生活を「大変苦しい」と感じています。これは共働き世帯の平均所得776万円と比較すると、ひとり親世帯の平均所得291万円は約38%に過ぎず、相対的貧困率の高さが深刻な社会問題となっています。

3. 主な支援制度

母子及び父子並びに寡婦福祉法は、ひとり親家庭の自立を総合的に支援する4つの柱で構成されています。

① 児童扶養手当

18歳到達年度末までの児童を養育するひとり親家庭に支給される経済的支援です。平成26年の法改正により、公的年金との併給調整が見直され、年金額が手当額を下回る場合は差額が支給されるようになりました。

② 福祉資金貸付制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度では、就学資金、修学資金、就職支度資金など、生活の安定と向上のための様々な資金を低利または無利子で貸し付けます。令和3年度からは住宅支援資金貸付も実施され、1年間就業継続で返済免除となる制度も設けられています。

③ 母子生活支援施設等

配偶者のない女性とその児童を保護し、自立を支援する入所施設です。生活指導、就労支援、児童の学習支援など、総合的なサポートを提供します。

④ 就業支援事業

母子・父子自立支援員による相談支援、高等職業訓練促進給付金(最大50万円の入学準備金と20万円の就職準備金)、自立支援教育訓練給付金など、就業による経済的自立を強力にバックアップします。

4. 法改正の意義

平成26年(2014年)の法改正は、ひとり親家庭支援の歴史において画期的な転換点となりました。この改正により、それまで支援の対象外だった父子家庭が正式に法律の保護下に置かれることになり、名実ともに「すべてのひとり親家庭」を支援する法律へと進化しました。

主な改正内容

  • ✓ 法律名を「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に改称
  • ✓ 父子家庭への福祉の措置に関する章を新設
  • ✓ 母子福祉資金貸付等の支援施策を父子家庭にも拡大
  • ✓ 母子自立支援員を「母子・父子自立支援員」に改称
  • ✓ 児童扶養手当と公的年金の併給調整を見直し
  • ✓ 婦人相談員との連携強化

さらに平成28年(2016年)と平成29年(2017年)の改正では、母子・父子自立支援員の非常勤規定が削除され、より専門的で継続的な支援体制が整備されました。これにより、複雑化するひとり親家庭の課題に対して、より質の高い相談支援が可能となっています。

5. 今後の課題と展望

法制度は整備されつつありますが、まだ多くの課題が残されています。養育費の確保は重要な問題で、実際に養育費を受け取っているのは母子世帯で24.3%、父子世帯でわずか3.2%に留まっています。また、相談相手がいないと回答した割合が母子世帯で22%、父子世帯で45%と、社会的孤立も深刻です。

こども家庭庁の発足により、ひとり親家庭支援はさらに強化される方向にあります。こども大綱では、2050年までの長期的視点でひとり親家庭の自立と社会参加の促進が掲げられており、経済支援の拡充、医療支援の拡充、ワークライフバランスの推進、地域子育て支援の強化など、多面的なアプローチが展開されています。

ひとり親家庭が抱える主な課題

家計
最も深刻
仕事
深刻
自分の健康
課題
住居
課題

重要なのは、支援制度の存在を知り、活用することです。母子・父子自立支援員をはじめとする専門機関への相談率はまだ低く、多くのひとり親家庭が孤立した状態で困難に直面しています。社会全体でひとり親家庭を支え、子どもたちが健やかに成長できる環境を整備することが、私たちの共通の責任です。

📚 参考文献・資料

  • 法令
    母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)
    e-Gov法令検索
  • 統計資料
    厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」(2023年1月)
    内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版」
  • 行政資料
    厚生労働省「母子及び寡婦福祉法の改正等について ~ひとり親家庭の支援~」(平成28年)
    こども家庭庁「ひとり親家庭支援施策」
    こども家庭庁ウェブサイト
  • 研究・実践資料
    特定非営利活動法人ひとり親家庭サポート団体全国協議会「ひとり親世帯の現状」
    しんぐるまざあず・ふぉーらむ「シングルマザーの現状」統計資料
  • 国際比較資料
    OECD, Family database “Child Poverty”
    厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和2年)

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