目次
トリアージとは?
トリアージとは、限られた医療資源の中で、患者の重症度や緊急性に応じて治療の優先順位を決める仕組みです。フランス語で「選別」を意味し、災害現場や戦場、そして日常の救急医療にも活用されています。
救急医療の現場と課題
救急医療は24時間体制で命を守る最前線。だがその現場は、軽症者の搬送や高齢者の複合的疾患への対応など、日々多くの課題を抱えています。救急車の適正利用や、地域連携によるスムーズな搬送体制が求められています。
災害医療における対応力
地震や台風などの災害時には、多数の傷病者を短時間で選別し、必要な治療に導く能力が問われます。災害派遣医療チーム(DMAT)や自治体の防災訓練が果たす役割は非常に大きく、現場では判断スピードとチーム連携が生死を分けます。
医療資源の配分と社会的視点
ICUのベッド数、医師や看護師の数、人工呼吸器の台数——これらすべてが医療資源です。新型コロナのパンデミックでは、これらの不足が医療崩壊のリスクを招きました。公平な配分には、単なる医療判断だけでなく、倫理や福祉の視点も必要です。
福祉との連携の重要性
高齢者や障害者、生活困窮者など、災害や救急時により脆弱な立場にある人々への対応には、医療だけでなく福祉支援が不可欠です。福祉避難所の設置、要配慮者名簿の整備、そして平時からの地域福祉との連携体制が命を守ります。
まとめ
トリアージとは命を選ぶのではなく、命を守るための判断です。そしてそれは、医療だけで完結するものではありません。社会全体の理解と福祉との融合があってこそ、すべての人に優しい救急医療が実現します。
次回予告
次回は「感染症の歴史と現代医療への教訓」をテーマに、天然痘、結核、新型コロナなど、感染症との闘いから私たちが学んだ教訓と、未来に活かす知恵について掘り下げます。お楽しみに!
参考文献・資料
- 総務省消防庁「救急搬送の実態と課題」
- 厚生労働省「災害時における医療・福祉の連携」
- 日本災害医学会「トリアージ実施ガイドライン」
- 『医療と福祉のクロスオーバー』医療社会学研究(2023)
コメント