はじめに
「住まいは人権」という言葉をご存知でしょうか?これはすべての人が安全で安定した居住空間を持つことが基本的な権利である、という考え方です。しかし、日本ではこの権利が十分に保障されているとは言えません。
ホームレス問題の現状
厚生労働省の調査(令和5年度)によると、全国で約3,400人のホームレス状態にある人々が確認されています(※1)。ただし、ネットカフェ難民やDV避難者など、統計に現れない“見えにくいホームレス”も多く存在します。
「住まいは人権」という考え方
国連は「adequate housing(適切な住居)」を人権の一部として位置付けています。これは単なる屋根のある場所ではなく、衛生的で、社会的つながりを築ける空間を意味します。
日本における支援制度と地域の取り組み
日本では、自立支援センターや居住支援法人、生活困窮者自立支援制度が支援の柱となっています。特に「ハウジングファースト」モデルの導入が近年注目されており、先に住まいを提供し、その後に福祉や就労を支援するという考え方です。
実例:東京都のハウジングファースト型支援
東京都では、NPO法人「ビッグイシュー基金」や「TENOHASI(てのはし)」がハウジングファーストに基づき、ホームレスの人々に住まいを提供し、生活相談や医療支援を展開しています。こうした民間と行政の協働が支援のカギとなっています。
今後に向けての展望
今後求められるのは、単なる一時的な支援ではなく、継続的な居住支援と地域での見守りの体制です。自治体や住民、民間団体が協働することで、「住まいを通じた包括的福祉」を実現できるのです。
次回予告
次回は「外国人福祉と多文化共生 ― 支援と課題を考える」というテーマで、現代日本の国際化と福祉のあり方について取り上げます。
コメント